ひとつひとつの作品が完成されたアートのようなのぞみさんの作品。心の赴くままに作っているそうですが、多岐に渡る作品を作るには技術の裏付けが必要だと思います。のぞみさんのアートのバックグラウンドを教えてください。

 

アートに対する興味は生まれつきだったようです。まだ3歳にもならないうちに水彩絵の具のセットを頂いたのを覚えています。5歳のときに弟が生まれて親の注目を一身に集められなくなると、テーラーメードの父のワイシャツが入っていた薄手の箱を山ほど与えられ、それを額に見立てて、絵や貼り絵などを作り続けました。幼稚園から短大まで行った東京の私立校は、とてもアートや音楽に力を入れていて、17年間そこでたくさん絵画や工芸品を作る機会を得たことが、まず最初のアートのバックグラウンドでしょうか。

 

「ほぼコマーシャルデザイン一色の世界で生きてきました。」
短大を卒業したものの、男性と対等に働けるアート関連の仕事に就くためにはアートの学位が必要だと思い、美大で勉強し直すために夜間の美術専門の予備校に通いながら、昼間はグラフィックデザインの会社でアルバイトをしていました。

結局、1年間アルバイトしたグラフィックデザイン会社の社長に、「美大は必要ないからうちにこないか」と誘われて、正社員になりました。グラフィックデザイナーに必要なのは常識、良識、社会の動向を感じる力、コミュニュケーション能力だと言われたその仕事を8年間続け、マーケティング、アートディレクション、グラフックデザインを学びつつ働きました。その後、フリーランスとして独立し、カナダに2005年に来るまでほぼコマーシャルデザイン一色の世界で生きてきました。

 

「長い間、本当はファインアート(純美術)が学びたかった。」
カナダに来て、Capilano University のInteractive Design とStudio Art に入学が許可されました。違う国でコマーシャルデザインを学び直すのも魅力的だったし、身に着けた技術が即仕事に結びつくのは理にかなっているとも思いました。でもよく考えてみると、長い間、本当はファインアート(純美術)が学びたかった自分を否めなくなりました。打算を止めてやっと素直になった様な気がし、Studio Artに通うことにしました。そこではPainting, drawing, Media art, Printmaking を主に習いました。それからはジャンルにこだわらず、様々な表現手段を使い、心の赴くままに作品を作る様になりました。

 

ご主人もユニークで精密な作品作りをされますね。ご主人とのアートコレクティブを始めるにいたった経緯や思いを教えてください。

 

実は自然に今の形になったんです。夫と出会ったとき、彼がアートに興味があるとは知りませんでした。当時、私はCAPUで美術を勉強していて、グラフィックデザイナーが本業であることは言っていました。そのことが彼が私に興味を持った理由の一つであったことは後になって聞きました。彼はずっとアーチィーな物作りをしたいと思っていたけれど、環境やモチベーションを上手く探せないままに過ごしてきていました。

 

「彼の才能をもう一度引き出してくれてありがとう!」
私が普通に毎日何かを作っている(その時は学校の課題が沢山あったので)のを目の当たりにして、自然にインスパイアされたそうです。結婚を期に彼の家族に会ったとき、思いがけずお礼を言われました。「彼の才能をもう一度引き出してくれてありがとう!」と。
ティーンエイジャーの頃の彼はなかなかの良い作品を作っていたようで、家族はそれを誇らしく思っていたけれど、仕事に就いてからはそれをあきらめてしまった様子を見て残念に思っていたと言うことでした。

 

「本業アーティストとして」
なので、なるべくしてこうなったと言う事でしょうか。彼には元々才能があって、それを当たり前の様に活かせる環境や相棒を、無意識にも探していた、みたいな。そして初めて彼からクリスマスに送られた手作り鉄製のオブジェを見た時は、その出来映えに大変驚きました。

始めの頃はそれぞれに自分の作品を紹介したりしていましたが、もし将来的にもっと本格化させるとしたら、もしお店だったら、と仮定して、品数やバラエティーや、アクティビティーを増やすためにも二人の作品を一緒にして展開することに決め、オフィシャルに屋号やロゴを作りました。
Something Nice はShawnとNozomiのSとNのイニシャルを取って考えついた名前です。これからもっと本格化させて行きたいと思っています。私は今後も、夫の作品の管理や紹介も含めて、本業アーティストとしてやっていければ幸いです。